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こんにちは。
コーヒーの探究は知れば知るほど広がって行く面白さがあるのですが、この頃は新しい段階に進んだと実感します。そういったことを少しお伝えさせて頂きたいと思います。

coffeeという視点
まず今年の前半の最大の発見のひとつはコーヒーを日本語のコーヒーでなく英語のcoffeeという視点で考える様になったことです。
これは考えてみればごく当たり前のことなのですが、日本に住んでいると無意識に日本語という視点でコーヒーを考えているのです。
ところが世界でコーヒーのことを「コーヒー」とカタカナで考えているのは日本人だけで、そうでないcoffee(※英語圏の場合)と捉えられていることが多いということに気付くと情報量がまったく変わって来ることに気付きました。
(※もっともヨーロッパ圏においてはドイツ語のKaffee、フランス語café、イタリア語のcafféなど他の言葉、またコーヒーの生産国においてはブラジルにおけるポルトガル語、南米諸国におけるスペイン語などそれぞれの言語を知っていれば、また世界は広がるのでしょうが、そこまでは語学力が追いつかないのが実状です。)
人間の認識は言語の構造に左右されます。例えば、日本では虹は7色ですが、アメリカでは6色だとか。
現在は主にアメリカを経由した視点でコーヒーを見ていますが、そこでアメリカのロースターは本当に面白いアイデアや、合理的なやり方でコーヒーを探究していて非常に参考になります。
現在利用している焙煎機もそこから発見することができました。
他に面白いのが日本においてコーヒーの常識とされることが、非日本語圏においてはまったく違っているということです。
例えば、日本においてコーヒーの探究の先は深煎り、ネルドリップ(※ネル布での抽出)、直火式焙煎(※火が直接豆に当たる焙煎方法)とされている風潮がありますが、日本以外の国においてはそういったものはほとんど採用されておらず、どちらかというともう少し浅煎りめで、エスプレッソ、熱風式焙煎(※火は豆に当たらない熱風で焙煎する方法)など。
これはもちろん日本が外国に比べて遅れているという意味ではなく、まったく別の文化的発展を遂げたという意味ですごく面白いことだと思います。アメリカのサードウェーブと呼ばれる人達はそういった日本の独自の文化に目をつけている所もある様です。コーヒーが日本の庶民に紹介されたのは明治に入ってから150年程ですから、日本のコーヒーはこれからまだまだ変化を遂げて行くのだと思います。またコーヒーに限らず日本人の思想がどれだけ日本語という言語に左右されているかを発見することができました。

焙煎機の変化
新しい焙煎機は以前のものと違って強力な排気機能(煙を外に吐き出す機能)があります。以前は排気機能を持たない焙煎機を使っていたので、焙煎する前にコーヒーの生豆を洗ってから焙煎をしていました。
それによって飲みやすくなるメリットもあったでしょうが、フレーバーが損なわれる危惧もあり、今は生豆を洗うことなく焙煎しています。また排気機能が強い焙煎機ですので、焙煎の準備段階の水分を抜いて行く過程や、熱風を豆に送り込む強さが高まり焙煎のトータルスピードが高まりました。焙煎時間が短くなるとコーヒーが持つ特色、果実味を生かすことができます。
また、焙煎が進行した後でも煙がきれいに排出されることで、深煎りでもよりスッキリとしたコーヒーになりました。タバコなどで煙の匂いがどれだけ付着しやすいかは皆さんも色々な所で経験されていると思います。
またオープンソースのソフトウェアを利用することで、焙煎機と焙煎豆の温度変化を時間軸でグラフ化して出力することができるようになりました。これは本当に焙煎の変化を見るにあたって大きなことだったと思いますし、また焙煎のログが取りやすくなりました。
今後は、ガスの火力、風力、焙煎機の中の湿度を含めてログを測定して行きたいと思っています。

抽出温度のこと
コーヒーの抽出で大きな変化はBonavita社のケトルを利用することにより1℃単位で温度を変化させられる様になったことです。
現在、使用している抽出器具はAeropressという抽出器具にAblebrewing社のステンレスフィルターを使用しているのですが、こちらの器具を発明した博士は80℃という比較的低温での抽出を推奨しています。
うたかた珈琲では焙煎豆によって温度を変化させていますが、エアロプレスにステンレスフィルターを使い低温で抽出した場合にでる甘さはすごく面白くて、コーヒーを飲めなかった人にもお砂糖なしで美味しく飲んで頂けることが多いです。これは温度の他に、ステンレスフィルターを使用することで出るオイルの香りに起因する部分が多いのではないかと思っています。
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コーヒーの生豆のこと
コーヒーの焙煎を初めてから、まだ焙煎の探究の途中という思いと、またスペシャルティコーヒーは小ロット生産のためいつも購入できる訳ではないからと、どちらかというとスタンダードのコーヒーを中心に焙煎していました。ですが、去年、東京の吉祥寺珈琲さんを訪ねた時に、そこの店主さんがご自分で直接農家さんをたずねて、脱穀する前の豆を輸入してご自分で脱穀までされていると知り、いつかはそういうことをやってみたいという思いがありました。そうしたら、コーヒーの農家さんを紹介して頂けることになりました。初めは少しずつでしょうが、間に業者を介さないダイレクトトレードが実現できそうです。農園そのものにも行く予定でいます。
今後はコーヒーに限らず、あらゆる農作物でも生産者から直接取引ができるようになると面白いのかなと思います。
また、東ティモールのフェアトレードの有機コーヒーを購入して焙煎した所、びっくりする程に美味しかったので今後はより生豆の違いがより明確に分かるものを使用して行きたいと思っています。映画『おいしいコーヒーの真実』などを観てコーヒー農家の実状を知ると、できるだけ生産者にお金が渡るようにしたいという思いもあります。
生豆それ自体の品種や精製方法による違いを深く知ることによりブレンド作りも積極的に開始しました。

コーヒーを飲んでくださる人のこと
今年の春から定期的にコーヒーを出店するようになりました。
色々な人に声をかけて頂いて、色々な場所で色々な人に出会いました
コーヒーを楽しみにして下さる人がいるうれしさをひしひしと感じましたし、それが原動力にもなりました。
あと嬉しいのはコーヒーを飲めない人が美味しく飲んでくれる時はうれしいです。
お湯を注いでも膨らまなかったり、苦いだけだたり、香りが飛んでいたり、今までコーヒーだと思い込んでいたものと異なるコーヒーの魅力に気付いて貰える喜びというか。
コーヒーはまだまだ本来の有り余る魅力が伝わりきっていないと思っているので、まだまだできることはあるのかなと思う。
また美味しさというのはコーヒーだけで完結するものでなく、人や場所など色々なものの複合体であるのだと実感するようになりました。
エネルギーの循環といいましょうか。
今後はコーヒー教室などでコーヒーを楽しむ人を増やして行けたらと思っています。

とにかく、知れば知るほどに自分がまだ多くを知らないことが分かって、つくづくコーヒーは面白いです。
そうやって同じ様にコーヒーを楽しむ人が増えたらいいなと思っています。